明日の戦場
ウクライナでの出来事から何を学ぶか、その最終的な答えはまだ出ていませんが、将来軍備の決定に関する最初の傾向はすでに明らかになっています。今回の紛争は兵站及び後方支援の重要性を改めて確認させるものであり、ロシア軍の状況に関する詳細な洞察と合わせ、特に戦争が長引けば長引くほど、装備の整った兵士が非常に重要であることを示しています。
新たな戦場の登場が、2040年の戦闘を決定づけることになるでしょう。。陸・海・空の領域に加え、各国がサイバー領域や宇宙空間からの脅威にさらされるケースがますます増えています。このように戦場がマルチドメイン化することによって、軍隊は自らの兵士たちのみならず、住民と国家の安全を守る上で大きな課題を突きつけられることになります。将来にわたって人と社会の安全を確保するためには、技術と知識それぞれにおける限界を克服しなければなりません。そのため、Saabの専門家たちは、過去と現在の軍事的な出来事を常に分析し、それらを世界的なトレンドと結びつけて将来に向けた教訓を導出しています。そうした専門家たちの予測が数十年にわたって開発作業の中核を担っており、世界中の軍隊が明日の攻撃に備えた装備を今日既に確保していくために、大きな貢献を果たしています。
専門家たちの意見は、戦争においては従来型の歩兵戦が引き続き決定的な要素で在り続けるという点で一致していることから、兵士の訓練や装備は、人工知能、ロボット工学、ネットワーク指向のシステムなど、豊富且つ多様な可能性を考慮して改善していく必要があります。「地上戦は今後も必ず存在するでしょう。ドローンを使った長距離の精密攻撃作戦がすでに可能であり今後も増え続けていくとしても、地域を占領・防衛するためには依然として兵士が必要です」と、スウェーデンの防衛企業であるSaabにおける歩兵分野の専門家であるAnders Wahlströmは語っています。「84㎜無反動砲(カールグスタフ)、NLAW、AT4ファミリー等の汎用性の高い兵器システムにより、私たちは世界中の軍隊に対して決定的な優位性を提供します。モジュラーシステムを採用することで、Saabの製品は2040年以降も高い有効性と信頼を維持し続けます。」
84㎜無反動砲(カールグスタフ)
携帯可能で多目的に応用可能な兵器システムは、あらゆる環境下において、兵士たちに対し敵の反撃を待たず撃破するために必要となる高い戦術的柔軟性と有効性を提供します。進化した最新型のM4では、攻撃に係る速度と機動性がさらに向上しています。先進的な射撃統制システム及びプログラム可能な84mm弾薬への適合は、装備に対する信頼度を一層高めます。
- 重量:約7kg | 長さ:1メートル未満
- 照準:オープンサイト、ダットサイト、望遠照準眼鏡、先進射撃統制システム
- 弾薬:対戦車、耐構造物、対人、支援用
NLAW
次世代軽対戦車兵器(NLAW)は、最新鋭の戦車をも撃破します。市街地を含むあらゆる環境に展開する部隊にとって、クラス最高の武器となります。装甲標的に対するオーバーフライトトップアタック(OTA)と、非装甲の対象や建物内の部隊に対するダイレクトアタック(DA)を選択できることに加え、NLAWは閉所や狭所からも完璧な射撃が可能です。
AT4ファミリー
AT4は、Saabの中で最も成功している対装甲兵器の1つです。軽量で携帯性に優れた使い捨て型の兵器であることから、あらゆる任務に対して最適化されています。
市街戦
世界中で都市部の人口が増え続けています。気候変動、飢饉、テロリズムあるいは圧政からの逃避などの影響が、新たな移民の流れにつながっています。これらはいずれも、戦場が都市環境に移行しつつあるということを意味しています。都市部が戦場となった場合、兵士にはこうした新たな要求に対応できる武器が必要となります。したがって、SaabのNLAW、AT4、並びに84㎜無反動砲(カールグスタフ)に関する新機能の多くは、市街戦を念頭に設計されています。たとえば、短い交戦距離、複雑な地形、建物内からの射撃の必要性、建物内の標的との交戦の必要性等が、開発における重要な考慮事項となりました。
それと同時に、競争力を維持するためには既存の機能を近代化し、改善していく必要もあります。たとえば精度の向上や優れた射撃技術と速度、輸送重量を低く抑えながら有効性を向上し、柔軟性を高めることは、部隊が決定的な優位に立てるようにするための機能のほんの一部です。ただし、同時に技術の進歩によって複雑性が増し、兵器が運用しにくくなるようなことは避けなければなりません。
HE 448 – 84㎜無反動砲(カールグスタフ)用新型弾薬
Saabの誇る84㎜無反動砲(カールグスタフ)は、非常に複雑な要求への対応と、可能な限りの戦術的柔軟性を両立させています。これにより携行装備品の重量が7㎏弱まで大幅に削減され、このクラスで最も軽量な部類に分類されています。新型のM4の登場により、兵士は戦車や随伴する歩兵の無力化、障害物の除去、建物内の敵との交戦に際し、信頼できる武器を手に入れることができます。さらに、プログラム機能を有する弾薬(HE448)との適合が追加されたことで、より迅速な対応が可能になりました。新しい射撃統制装置(FCD558)との通信においては弾体内のインターフェースがその基盤となり、HE 448弾はFCD 558に弾薬の種類と発射薬の温度に関する正確な情報を提供し、このデータと射手が入力した目標距離とを組み合わせて、最適な弾道を決定します。その結果、より迅速な射撃準備と精度向上が実現し、作戦の有効性が高まります。また、M4は射程範囲と調整破片の分布において、最も優秀な結果を新たに達成しています。84㎜無反動砲(カールグスタフ)により、兵士は自らの装備に全幅の信頼を寄せることができます。
実戦を通じた訓練
戦争においては、依然として兵士のスキルと武器が核心的な要素であることに変わりはありません。したがって、脅威が複雑になればなるほど教育と訓練の重要性が高まっていきます。野外訓練(ODT)シミュレーターを使った実戦訓練や、実際の武器を使った実弾射撃は今後も兵士の訓練における重要な要素であり続けると考えられますが、その一方でバーチャル訓練も多くの新しい可能性を切り開くことが期待されています。たとえば、基礎訓練において、(環境、コスト、時間の理由からも)大規模な実弾射撃訓練に代えてバーチャル訓練が行われるようになる場合や、よりリアルで戦術的なバーチャル屋内訓練が行われるようになる場合が考えられます。「将来的には、弾道性能だけでなく取り扱いの面でも実際の挙動を再現した、各種兵器のリアルなシミュレーションを使用できるようになることが大いに必要となるだろうと、私たちは考えています」と、Anders Wahlströmは説明しています。
長年にわたり、Saabは兵器の開発だけでなく、何よりも訓練分野への投資を大切にしてきました。さらに一流の大学や研究機関とも協力しており、幅広い分野の顧客や専門家との交流が、Saabにとっての主要な成功因子となっています。Anders Wahlströmは次のように述べています。「将来を見据えることは、サービスプロバイダーである当社にとって特に重要です。当社の顧客に対して戦場における決定的な優位性を提供するためには、我々は常に一歩先を考えるようにしなければなりません。しかしながら、予測はその根拠があってこそ成り立つものです。そのため私たちは、迅速かつ柔軟に対応できるよう、現状の分析について最も高い基準を設定しています」。2040年が実際にどのようになるか、誰にも分かりません。しかしSaabの専門家は、戦場と兵士が切り離されることはないという点について、確信を持っています。兵士は、未来においても重要な役割を果たし続けます。